地球化学:チタン同位体に記録された地球の進化する地球力学的状態
Nature 621, 7977 doi: 10.1038/s41586-023-06304-0
地球のマントルは2層構造をしており、深さ約660 kmにある地震学的不連続面によって上部マントルと下部マントルの領域が分かれている。しかし、こうしたマントル領域間の地球史を通した質量の移動量はよく分かっていない。大陸地殻の抽出によって、チタン(Ti)の安定同位体分別が起こり、同位体的に軽い溶融残滓が生成される。こうした成分のマントル循環は、地質学的時間において追跡可能なTi同位体変動をもたらし得る。今回我々は、コンドライト、38億〜20億年前の太古の地球マントル由来の溶岩、現代の海洋島玄武岩(OIB)について、超高精度の49Ti/47Ti比を報告する。コンドライトに基づく今回の新しいTiの全ケイ酸塩地球(BSE)の見積もりは、通常の大洋中央海嶺玄武岩(N-MORB)によって得られた現在の上部マントルより0.052 ± 0.006‰重い。地球の上部マントルの49Ti/47Ti比は、35億年前以前はコンドライト的だったが、これが約35億〜27億年前にN-MORB的組成へと進化しており、これによって、この時期により多くの大陸地殻が抽出されたことが立証された。BSEとN-MORBの間の0.052 ± 0.006‰のずれは、地球マントルの30%未満が循環した地殻物質と平衡状態になったことを必要とし、これは、上部マントルと下部マントルの間の質量交換は限定的であり、ひいては始原的な下部マントルのリザーバーが地球の地質学的時間の大半にわたって保持されてきたことを示唆している。現代のOIBは、コンドライト的組成からN-MORB組成にわたって変動する49Ti/47Ti比を記録しており、これは、地球の始原的マントルの崩壊が継続していることを示している。従って、上部マントルと下部マントルの間の質量移動が大きい現代の様式のプレートテクトニクスは、地球史の最近の特徴を示しているにすぎない。

