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がん:染色体不安定性に由来する細胞非自律的ながんプログレッション
Nature 620, 7976 doi: 10.1038/s41586-023-06464-z
染色体不安定性(CIN)はがん転移を促進する因子の1つだが、CINの影響が免疫系にどの程度依存しているかは不明である。今回我々は、単一細胞トランスクリプトームデータから細胞間相互作用の性質と状況依存性を推定するために、ContactTracingというツールを新たに開発し、検証とベンチマーク化を行った。そして、このツールを用いて、CINによって誘導されるcGAS–STING経路の慢性的な活性化が、がん細胞で下流シグナルの再配線を促し、転移促進性の腫瘍微小環境を作り出すことを示す。この再配線は、STING下流選択的なI型インターフェロンタキフィラキシーと、それに伴って起こるがん細胞由来の小胞体ストレス応答の増加によって起こる。CINの回復、がん細胞でのSTINGの枯渇、あるいは小胞体ストレス応答シグナル伝達の阻害は、腫瘍微小環境に対するCIN依存的影響を無効化し、免疫能が正常な状態では転移を抑制したが、重度の免疫不全状態では抑制しなかった。STING阻害剤の投与は、腫瘍細胞に固有のSTING依存的様式で、黒色腫や乳がん、大腸がんにおいてCINが引き起こす転移を減少させた。さらに我々は、CINと、微小核で広く見られるcGASの活性化は、ヒトのトリプロネガティブ乳がんでの小胞体ストレスシグナル伝達、免疫抑制および転移と関連していることを示す。この結果は、CIN誘導性炎症により誘発された腫瘍を特定し、治療的介入を行うための実行可能な戦略をはっきりと示している。

