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環境科学:農薬の陸域の収支と河川による海洋への放出

Nature 620, 7976 doi: 10.1038/s41586-023-06296-x

農薬は、生態系や人間の健康に悪影響を及ぼすありふれた環境汚染物質である。農業では、作物を守るために毎年約3 Tgの農薬が使われている。こうした農薬がどのくらい陸域に残り、どのくらい帯水層や海洋に達するかはよく分かっていない。農薬の環境動態を監視することは困難であり、時空間的な移動性に関する詳細な描像はほとんど分かっていない。今回我々は、最も使われている92種類の農薬活性物質の水文学的性質と生物地球化学的性質を説明するプロセスモデルを開発して、世界中の主要な集水域を通る流路を評価し、海洋への放出を含む全球の陸域と河川の収支のほぼ現在の描像を描き出した。その結果、今回の研究で用いた2015年の農薬の年間総流入量である0.94 Tgのうち、82%が生物によって分解され、10%が残滓として土壌に残り、7.2%は根域の下に浸出していたことが分かった。河川には、10 kg yr−1 km−1から100 kg yr−1 km−1を超える速さで0.73 Ggの農薬が流出域から流入していた。土壌におけるその動態とは対照的に、河川に流入した農薬はその流域において1.1%しか分解されず、1万3000 km以上の河川の長さで安全なレベルを超えており(1 μg l−1を超える濃度)、0.71 Ggの農薬活性成分が毎年海洋へ放出されていた。除草剤は、陸域(72%)と河口(62%)の両方で広く見られる残留農薬となっている。

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