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量子物理学:固体状態における単一Erイオンからの識別できないテレコム帯域光子
Nature 620, 7976 doi: 10.1038/s41586-023-06281-4
固体状態における原子欠陥は、長距離量子通信向け量子中継器ネットワークの重要な構成要素である。最近、希土類イオン、特にエルビウムイオン(Er3+)には、光ファイバーでの長距離伝送を可能にするテレコム帯域光遷移があることから、大きな関心が集まっている。しかし、希土類イオンを用いた中継器ノードの開発は、光スペクトルの拡散によって阻まれており、識別できない単一光子の生成が不可能になっている。今回我々は、非極性のサイト対称性と核スピンからの低デコヒーレンスを兼ね備え、背景の希土類イオンを含まない材料であるCaWO4に、Er3+を注入して、光スペクトルの拡散の大幅な低減を実現した。パーセル係数が大きいナノフォトニック共振器と結合した、浅く注入されたイオンでは、単一スキャンの光線幅150 kHzと長時間のスペクトル拡散63 kHzが観測された。これらはどちらも、パーセル増強された放射線幅21 kHzに近い。これによって、36 kmの遅延線の後で測定された、連続して放出される光子間のHong–Ou–Mandel干渉の観測が、V = 80(4)%の可視度で可能になった。また我々は、スピン緩和時間T1,s = 3.7 sとT2,s > 200 μsも観測しており、後者は、核スピンではなく結晶中の常磁性不純物によって制限されることが分かった。これは、単一Er3+イオンを用いたテレコム帯域量子中継器ネットワークの構築への大きな一歩である。

