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ナノスケール材料:ファンデルワールス反強磁性体におけるスピンに媒介されるせん断振動子
Nature 620, 7976 doi: 10.1038/s41586-023-06279-y
微視的なスピン配置が、巨視的な長さスケールでどのようにエキゾチックな特性を生み出すかを理解することは、磁性材料において長い間追求されてきた。その代表的な例の1つが、強磁性体におけるアインシュタイン–ドハース効果であり、この効果では、スピン角運動量が物体全体の機械的回転に変換される。しかし、正味の磁気モーメントのない反強磁性体では、スピン秩序化がどのように巨視的な運動と結び付くかは、まだ分かっていない。今回我々は、反強磁性ナノ層膜の逆格子ピークがシーソーのように回転し、そのギガヘルツ構造共鳴が、ネール温度以下への冷却の後に1桁以上増幅されるのを観測した。そして、一連の超高速回折法と顕微鏡法を用いることによって、逆格子空間におけるこのスピン駆動回転をナノスケールで直接可視化した。この運動は、実空間における層間せん断に対応しており、膜の個々の微視的パッチが、同一の面内軸に沿ってせん断変形する位相同期したコヒーレント振動子として振る舞う。さらに我々は、時間分解偏光測定法を用いて、機械的応答の増強が超高速減磁と強く相関しており、これによって局所的なひずみ勾配に蓄積された弾性エネルギーが解放され、振動子が駆動されることを示す。今回の成果は、スピンに媒介される反強磁性体の機械的運動に関する微視的な描像を初めてもたらすだけでなく、ミリメートル帯域までの高周波共振器の実現への新たな道筋を特定しており、そのため、超高速時間スケールで磁性状態を制御する能力を、ナノデバイスの機械的特性の操作に容易に移行することが可能になる。

