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保全生物学:熱帯の生物多様性に保護地域がもたらす景観規模の利益
Nature 620, 7975 doi: 10.1038/s41586-023-06410-z
近ごろ国連は、生物多様性の低下を減速させるために、世界の保護地域(PA)を大きく拡大させることで合意した。しかし、保護区が生息地の喪失を抑制することは多いものの、それが動物の多様性を維持する効力や、周辺の非保護地域の生物多様性に与える影響は、いまだ明らかにされていない。無規制の狩猟により大型動物のPAから大型動物はいなくなり、違法な樹木伐採は生息地の質を低下させ、公園は伐採や狩猟などの撹乱を単に景観の非保護地域へ移動させる(「リーケージ(漏出)」と呼ばれる現象)だけになりかねない。一方、十分に機能しているPAは、保護区内のみならず、近傍の非保護地の動物多様性をも高める可能性がある(「スピルオーバー(溢出)」と呼ばれる効果)。今回我々は、多様性が極めて高い東南アジア各地のPAが、その境界の内外で脊椎動物の保全に寄与しているかどうかを検証した。その結果、保護区は鳥類の多様性のあらゆる側面を高めていることが分かった。また、大規模な保護区は、近隣の非保護景観における哺乳類の多様性を大幅に高めることにも関連していた。我々の結果は、PAはリーケージによって域外の生態学的条件を悪化させているのではなく、スピルオーバーにより周辺地域の生物多様性に恩恵をもたらしているという考え方に一致している。こうした知見は、PAが境界内部とその外のより広い景観の両方でのより高い脊椎動物多様性に関連していることを実証することにより、2030年までにPA面積30%を達成するという国連の目標を支持している。

