ウイルス学:TRIM5αはポックスウイルスを抑制し、CypAおよびウイルスタンパク質C6によって拮抗される
Nature 620, 7975 doi: 10.1038/s41586-023-06401-0
ヒトのTRIM5α(tripartite motif protein 5α)は、HIVなどの一部のRNAウイルスに対する抑制因子であり、詳しい性質が明らかにされているが、DNAウイルスに関しては限られた報告しかない。今回我々は、TRIM5αがDNAウイルスであるオルトポックスウイルスも抑制し、そのSPRYドメインを介してオルトポックスウイルスのカプシドタンパク質L3に結合してウイルスの複製を抑え、自然免疫を活性化することを明らかにする。これに対して、いくつかのオルトポックスウイルス(ワクシニアウイルス、ウサギ痘ウイルス、牛痘ウイルス、サル痘ウイルス、ラクダ痘ウイルス、痘瘡ウイルスを含む)は、対抗手段を備えている。第一に、タンパク質C6がRINGドメインを介してTRIM5に結合し、プロテアソームに依存したTRIM5分解を引き起こす。第二に、シクロフィリンA(CypA)がカプシドタンパク質L3との相互作用を介してウイルスの複製場所とビリオンの所へ動員され、TRIM5αと拮抗する。しかしこの相互作用は、シクロスポリンA(CsA)やその非免疫抑制性誘導体アリスポリビルとNIM811によって妨げられる。CypAのウイルス援助効果とCsAの抗ウイルス効果は両方共TRIM5αに依存している。CsA、アリスポリビル、NIM811はオルトポックスウイルスに対し抗ウイルス活性を持ち、これらの薬剤はいずれも細胞タンパク質CypAを標的としているため、ウイルスに薬剤耐性が出現しにくい。これらの結果が示すように、CsA誘導体は、サル痘ウイルスや痘瘡ウイルスをはじめとするオルトポックスウイルスに対抗する薬剤として検討する価値があるだろう。

