Review

創薬:ヒトの遺伝学を利用した標的発見から臨床薬剤開発まで

Nature 620, 7975 doi: 10.1038/s41586-023-06388-8

過去30年間に行われたヒトの遺伝学やゲノミクスへの多大な投資によって、多くの革新的な治療法が生み出されると期待されていた。今回我々は、こうした期待が、がん治療を除いて、どの程度満たされてきたかを調べた。我々の検索によって、新たな標的の発見、そしてそれに続く36のまれな疾患と4つのありふれた疾患に対する新規治療法の承認に直接つながった、生殖細胞系列での40の遺伝的観察が特定された。遺伝的標的の発見から薬剤の承認までの期間の中央値は25年であった。まれな疾患を対象とする遺伝学に基づく治療法のほとんどは、疾患を引き起こす機能喪失変異を補償するものである。ありふれた疾患を対象として承認された治療法は全て、まれな機能喪失バリアントに備わる天然の疾患防御効果を薬理学的に模倣するよう設計された阻害剤である。バイオバンクに基づく大規模な遺伝学的研究には、多数の新しい薬剤標的を特定および検証する力がある。遺伝学は、例えば、臨床試験中の治療法に応答する可能性が最も高い人を選択するなど、薬剤の臨床開発段階でも役立ち得る。こうした薬剤開発手法には、遺伝情報に基づいた臨床試験について適切な同意を得た、表現型が詳細に決定された人々からなる大規模で多様なコホートへの投資が必要である。ヒトの遺伝学とゲノミクスの可能性を最大限に捉え、有効で安全な革新的治療法を患者に迅速に届けるには、責任ある持続可能な利益共有を促進するロバストな枠組みが必要である。

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