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化学物理学:二次元結晶におけるナノスケールのしわを通したプロトン輸送
Nature 620, 7975 doi: 10.1038/s41586-023-06247-6
欠陥のないグラフェンは、周囲条件下ではどんな原子やイオンも透過できない。マイクロメートルサイズの膜を通る1時間当たり数原子のガス流を分解できる実験によって、単結晶グラフェンが、最小原子であるヘリウムを全く透過させないことが見いだされた。そうした膜はまた、最小イオンであるリチウムイオンを含む、あらゆるイオンを透過させないことも示されている。対照的に、グラフェンは、水素の原子核であるプロトンを非常に透過させやすいことが報告されている。しかし、この予想外に高いプロトン透過性の裏にある機構や、グラフェンの結晶格子の欠陥がこの機構に必要かどうかについてすら、一致した見解は得られていない。今回我々は、高分解能走査型電気化学セル顕微鏡法(SECCM)を用いて、機械的に剥離した単層グラフェンや単層六方晶窒化ホウ素を通したプロトン透過は、いかなる構造欠陥にも起因するとは考えられないが、二次元膜のナノスケールの非平坦性はプロトン輸送を大幅に促進することを示す。SECCMによってプロトン流の空間分布を可視化したところ、ひずみが蓄積されるナノスケールのしわなどの特徴と強く相関する顕著な不均一性が明らかになった。今回の結果は、ナノスケール形態が、大半が平坦と考えられてモデル化されている二次元結晶を通るプロトン輸送を可能にする重要なパラメーターであることを浮き彫りにしており、二次元材料のプロトン透過性を制御するさらなる自由度としてひずみと曲率が使用できることを示している。

