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神経科学:ニューロンの移動は網膜形態形成における空間的競合を防ぐ

Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06392-y

組織の成長と組織化が同時に起こるのは、生物の発生の特徴である。これは多くの場合、連続的に変化する組織環境内に増殖中の細胞と分化中の細胞が同時に見られることを意味している。しかし、細胞が構造的変化に適応して空間的な干渉を防ぐ仕組みはまだ明らかにされていない。今回我々は、成長と組織化のカギとなる細胞の動きがどのように調整されているかを理解するために、ゼブラフィッシュ、ヒト組織、ヒトオルガノイドを用いて、網膜成長のピーク時に起こる光受容ニューロンの出現について調べた。定量的画像化によって、網膜形態形成の成功は、光受容器の活発な双方向の移動に依存しており、その結果、細胞集団全体が頂端側の増殖区画から一時的に移動することが明らかになった。この移動パターンは、方向に応じて異なる細胞骨格機構によって駆動される。すなわち、微小管は基底方向への移動にのみ必要であるのに対して、アクトミオシンは頂端方向への移動に関与する。光受容体の基底方向への移動を阻害すると頂端側で過密が起こり、頂端での前駆細胞の分裂が妨げられて、層形成の二次的な異常につながる。従って、光受容体の移動は、空間的な競合を防ぎ、組織の成長と層形成が同時に起こるようにするために重要である。この結果は、ニューロンの移動が、細胞の位置調整におけるカノニカルな役割に加えて、形態形成の調整にも関与している可能性を示している。

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