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構造生物学:Fanzorは真核生物の持つプログラム可能なRNA誘導型エンドヌクレアーゼである

Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06356-2

標的とする核酸配列とガイドRNAの間の相補性を使って遺伝因子を認識するRNA誘導型の系は、原核生物と真核生物の両方のさまざまな生物学過程で中心的な役割を果たしている。例えば原核生物のCRISPR–Cas系は、細菌やアーキアで外来の遺伝因子に対する適応免疫をもたらす。Cas9やCas12のようなCasエフェクターは、ガイドRNAに依存してDNAの切断を行う。RNA干渉やリボソームRNAの修飾を含め、真核生物のRNA誘導型の系はいくつかが研究されているが、真核生物がRNA誘導型エンドヌクレアーゼを持つかどうかはいまだに不明である。最近、原核生物でRNA誘導型の系の新しいクラス(OMEGAと命名)が報告された。このOMEGAのエフェクターであるTnpBはCas12の祖先と推定されていて、RNA誘導型エンドヌクレアーゼ活性を持っている。TnpBはまた、真核生物のトランスポゾンにコードされたタンパク質であるFanzor(Fz)の祖先である可能性もあるため、真核生物にもCRISPR–CasまたはOMEGAに似たプログラム可能なRNA誘導型エンドヌクレアーゼが備わっている可能性が浮上してきている。今回我々は、Fzの生化学的特性を詳しく調べ、これがRNA誘導型のDNAエンドヌクレアーゼであることを示す。またFzが再プログラミング可能で、ヒトゲノムの操作に応用できることも明らかにする。さらにクライオ電子顕微鏡を使って、ツボカビの一種であるSpizellomyces punctatusのFzの構造を分解能2.7 Åで解き、コグネイトRNAの構造は多様であるにもかかわらず、Fz、TnpB、Cas12の間でコア領域は保存されていることを明らかにした。これらの結果は、Fzは真核生物のOMEGA系であることを示しており、RNA誘導型のエンドヌクレアーゼが生命の3つのドメイン全てに存在することが明らかになった。

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