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構造生物学:H3K36me3をガイドとしてRpd3Sが行うヌクレオソーム脱アセチル化の多様な様式
Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06349-1
状況に応じて動的に変化するヒストン修飾は、遺伝子調節の重要なエピジェネティック機構である。Rpd3S(Rpd3 small)複合体はヒストンのリシン36のトリメチル化(H3K36me3)を認識し、転写中の領域全体にわたって存在する複数の部位でヒストンH3とH4を脱アセチル化する。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)のRpd3Sについて、遊離状態およびH3K36me3ヌクレオソームと結合した状態のクライオ電子顕微鏡構造を解いた。そして、2コピーのEaf3–Rco1ヘテロ二量体がRpd3とSin3に非対称的に結合して触媒コア複合体を形成しているという、Rpd3Sの独特な構造を明らかにした。2個のH3K36me3標識、ヌクレオソームDNA、リンカーDNAのEaf3、Sin3、Rco1による多価認識によって、Rpd3の触媒中心がヒストンH4のN末端尾部の隣の脱アセチル化に適した位置に配置される。別の触媒様式では、メチル化されていないヒストンH3のリシン4とH3K36me3がRco1とEaf3によってコンビナトリアルに読み取られ、許容されるヒストンH3のアセチル化されたリシン9以外のヒストンH3特異的な脱アセチル化が誘発される。まとめるとこれらの知見から、Rpd3Sによるヌクレオソームへの多価結合とメチル化に導かれた脱アセチル化に動的で多様な様式があることが明らかになり、精緻に設計された多サブユニット酵素装置によって転写とそれ以降に行われるエピジェネティック調節の絶妙な複雑さが明らかになった。

