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がん:均一ながん細胞集団の薬剤処理から多様なクローン運命が出現する

Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06342-8

遺伝的に同一のがん細胞集団であっても、それらの細胞の一部から治療抵抗性が生じることはよくある。初期集団内の1個のまれな細胞に見られる分子的相違によって若干数の細胞が治療抵抗性になることはあり得るが、結果として生じる抵抗性のばらつきについてはあまりよく分かっていない。今回我々は、DNAバーコーディングと単一細胞RNA塩基配列解読の組み合わせが枠組みとなっているFateMapを開発し、これを用いて抗がん療法に曝露された数十万個のクローンの運命を明らかにする。単一の細胞に由来するがん細胞群から生じた抵抗性クローンは、分子的、形態的、機能的に異なる抵抗性タイプをとることが分かった。これらの抵抗性タイプは、薬剤添加の前から細胞間に存在する分子的相違によって大部分があらかじめ決定されていて、外的要因にはよらないことが分かった。薬剤の用量や類型を変えると、クローンの始原細胞の抵抗性のタイプが切り替えられる場合があり、その結果として、いくつかの抵抗性タイプが生じたり失われたりする。患者由来の試料から、このような抵抗性タイプが臨床状況で存在する証拠が得られた。また、単一細胞に由来する複数のがん細胞株や多様な薬剤で処理された細胞タイプにわたって抵抗性タイプの多様性が見られた。内在する細胞の状態に見られるばらつきの結果として生じる抵抗性タイプの多様性は、外的合図に対する応答の一般的な特性なのかもしれない。

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