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天文学:PDS 70の円盤の地球型惑星形成領域における水
Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06317-9
地球型惑星や海王星より小さい惑星(サブネプチューン)は、原始惑星系円盤の内側(10 AU以下)の領域で形成されると考えられている。水はそれらの形成に重要な役割を果たすが、水分子がin situで形成されるのか、それとも外側の円盤から輸送されるのか、まだよく分かっていない。これまでのところ、スピッツァー宇宙望遠鏡の観測によって、原始惑星の存在が直接的に確認された最初の系であるPDS 70と同様の、塵の枯渇した内側の円盤に対して水放射の光度の上限が示されたのみである。今回我々は、水を探査する基準対象であるPDS 70の、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測結果について報告する。PDS 70は、内側と外側の円盤を隔てている、惑星によって形成される大きな(約54 AU)間隙を有する円盤である。今回の発見から、PDS 70の内側の円盤における水の存在が明らかになった。このことは、その場所で形成され得る地球型惑星が、水のリザーバーを利用できることを意味している。水蒸気の柱密度は、O、H2、OHの全てまたはどれかを含む反応過程を通したin situ形成と、水の自己遮蔽を通した残存を示唆している。このことは、紫外光解離に鋭敏な別の分子であるCO2放射の存在によっても裏付けられた。塵の遮蔽や、外側の円盤からのガスと小さな塵の両方の補充も、水の貯留を維持する役割を果たしている可能性がある。今回の観測結果から、中赤外のスペクトルエネルギー分布の強い変動も明らかになっており、内側の円盤形状の変化が指摘される。

