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気候変動生態学:氷河の後退によって生じる新しい生態系の将来的出現

Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06302-2

人為起源の気候変動に関連した氷河の縮小と氷河が消えた後の生態系の発達は、現在進行している生態系の変化の中でも最も速い部類であり、連鎖して進行する著しい結果を生態や社会にもたらしている。しかし、この重要な転換を定量化しこれに先手を打つための完全な空間的解析は、我々の知る限りでは存在していない。本論文では、2100年までに南極とグリーンランド氷床の外側にある全ての氷河の衰退によって、ネパールの面積(14万9000 ± 5万5000 km2)からフィンランドの面積(33万9000 ± 9万9000 km2)に及ぶ地域に、新しい陸域生態系、海洋生態系、淡水生態系が生まれる可能性があることを示す。今回の分析結果は、気候シナリオに応じて氷河地域の喪失が22 ± 8%から51 ± 15%に及ぶことを示している。退氷した地域では、新たに出現する生態系は、極端なものから温暖なものまでのさまざまな生態学的条件で特徴付けられ、寒冷適応種の避難所となるか、一次生産性やジェネラリスト種に有利になる。氷河地域の将来を調べることで、氷河の重要性や、気候変動、生物多様性の喪失、淡水の欠乏に直面する氷河後の新たな生態系が浮き彫りにされる。我々は、保護地域に存在している氷河地域は半分以下であることを見いだした。2025年を氷河保護と全球生物多様性枠組みの国際年と宣言した最近の国連決議を反映して、我々は、こうした生態系のin situ保護と気候変動の緩和を緊急かつ同時に強化して、その存在、機能、価値を確保する必要性を強調する。

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