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材料科学:発光性有機ラジカルにおける可逆的なスピン–光インターフェース

Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06222-1

分子は、量子情報科学の汎用プラットフォームとなり、センシング用途や計算用途の候補である。ロバストなスピン–光インターフェースは、物質の量子リソースを利用するためのカギである。これまで、炭素系の候補物質は非発光性であるため、発光による光学的読み出しは阻まれていた。今回我々は、効率的な発光と、スピン多重度S > 1の励起状態の1に近い収率の両方を示す有機分子を報告する。これは、今回の場合は共有結合したトリス(2,4,6-トリクロロフェニル)メチルカルバゾールラジカルとアントラセンの、発光性の二重項準位と三重項準位の間のエネルギー共鳴を設計することによって実現された。我々は、二重項光励起が、連結されたアセンに数ピコ秒以内に非局在化し、次に1.8 eV近傍のラジカルと三重項の特性が混在した純粋な高スピン状態(モノラジカルの場合は四重項、ビラジカルの場合は五重項)に変化することを観測した。これらの高スピン状態は、295 Kでもマイクロ波でコヒーレントにアドレスでき、光学的読み出しは、発光状態への逆項間交差によって可能になる。さらに、ビラジカルの場合には、基底状態に戻ると、アントラセンの両側のそれまで無相関であったラジカルスピンが強いスピン相関を示す。今回の手法は、室温での高効率の初期化、スピン操作、光による読み出しを同時に支援する。発光状態と高スピン状態の統合によって、新たな量子技術のための有機物質プラットフォームが生み出される。

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