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地球科学:深部の炭素循環と塩素循環を駆動する炭酸塩に富む地殻の沈み込み
Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06211-4
マントル深部への沈み込みと火山活動による大気への放出の間の炭素フラックスと塩素フラックスの収支は、地球の居住可能性に重要である。しかし、沈み込むスラブからの浸透による流体の損失は、含水条件下での炭素と塩素の移動性が高いため、マントル深部へのそれらの輸送を妨げていると考えられている。今回、新たな高圧実験によって、炭酸塩に富む地殻岩(主要な沈み込む炭素リザーバーの1つ)の炭酸塩の大半(> 75 wt%)は、低温や高温の沈み込み帯における液化や含水溶融の後も残ることが示され、原生代中期以降の深部の炭素循環を炭酸塩の沈み込みが駆動してきたことが示唆された。我々は、KClとNaClはそれぞれ、比較的低温の沈み込み帯と高温の沈み込み帯で塩素の溶解度が低く、含水炭酸塩メルトから結晶化して安定相となり、その結果下降するスラブ内の固体残滓に塩素が隔離されることを見いだした。従って、炭酸塩に富む岩石の沈み込みによって、地球史の中間段階においてマントル深部への塩素と炭素の両方の極めて効果的な再循環が促進されて、原生代中期以降に大気のpCO2が低下し、炭素や塩素に富むリザーバーが形成された。この炭素と塩素の沈み込みに最適な時期は、エクロジャイト・ダイヤモンドの年代とHIMUマントル生成源の形成を説明できる可能性がある。

