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アレルギー:マスト細胞は免疫感知を抗原回避行動に結び付ける

Nature 620, 7974 doi: 10.1038/s41586-023-06188-0

マスト細胞の生理的機能は、まだほとんど分かっていない。障壁に損傷がある状況では、マスト細胞は2型免疫に組み込まれ、免疫グロブリンE(IgE)と共に、アレルギー性疾患を促進する。しかし、アレルギー症状は、アレルゲン、毒素、寄生虫の排除を促して、その後の抗原回避を引き起こす可能性がある。今回我々は、近交系マウスにおける抗原特異的回避行動がマスト細胞に決定的に依存していることを示す。つまり我々は、抗原認識を回避行動に結び付ける免疫学的センサー細胞を特定した。回避により、胃や小腸での抗原による適応免疫、自然免疫、粘膜免疫の活性化と炎症が防止された。回避はIgE依存的であり、免疫感作段階ではTh2サイトカインによって、免疫実行段階ではIgEによって促進された。胃や小腸の内腔側に存在する粘膜マスト細胞は、抗原の摂取を迅速に感知した。変異マウス、薬理学的阻害、神経活動記録、迷走神経切離を用いて、マスト細胞と脳の間に信号伝達経路がある可能性を調べた。その結果、ロイコトリエン合成の阻害によって回避は低下するが、全体的に見ると、単一経路を阻害しても回避は完全にはなくならなかったことから、複雑な調節の存在が明らかになった。まとめると、まず適応免疫が過去の免疫応答の証拠として、マスト細胞にIgEを装備させることで抗原回避の環境が準備され、続いて抗原が摂取されると、マスト細胞は抗原の摂取を終了させる信号を伝える。それ自体は無害な抗原に対して免疫病態を引き起こす、継続的で無益な応答の防止、つまりマスト細胞を介する抗原回避行動による毒素の反復摂取の防止は、免疫の重要な1つの能力であるかもしれない。

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