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がん:ネトリン1を薬理学的標的としてがんでのEMTを阻害する

Nature 620, 7973 doi: 10.1038/s41586-023-06372-2

上皮間葉転換(EMT)は、腫瘍のイニシエーション、プログレッション、転移、抗がん療法への耐性を調節する。がんでのEMTの役割とその調節機構の解明には大きな進展があったが、EMTを薬理学的標的とする治療戦略はまだ見つかっていない。我々は、自発的にEMTを起こす皮膚の扁平上皮細胞がん(SCC)の初代マウスモデルでネトリン1の発現が増加していることを見いだした。ヒトがんでの臨床試験(ClinicalTrials.gov登録番号:NCT02977195)で現在使用されている、ネトリン1阻害モノクローナル抗体NP137の投与によるネトリン1の薬理学的阻害は、皮膚SCCでEMT腫瘍細胞の割合を低下させ、転移数を減らし、化学療法に対する腫瘍細胞の感受性を上昇させた。単一細胞RNA塩基配列解読から、対照のSCCには、上皮のままの部分、EMTの初期・後期の両方が見られるハイブリッド状態の部分、それに完全なEMT状態の部分という、EMTのさまざまな段階に当たる状態が存在していることが明らかになった。これとは対照的に、NP137の投与は、がん細胞の後期EMTへの進行を妨げ、腫瘍の上皮状態を維持した。EPCAM+腫瘍細胞で、ネトリン1とその受容体であるUNC5Bを短鎖ヘアピンRNAによりノックダウンすると、in vitroでストローマ細胞非存在下でのEMTが抑制され、腫瘍の上皮状態を促進しEMTを制限する共通の遺伝子シグネチャーが調節された。これらの知見とヒトがんとの関連を評価するために、A549ヒトがん細胞株(TGFβ1投与後にEMTを起こす)を移植したマウスにNP137を投与したところ、ネトリン1の阻害は、これらの移植されたA549細胞でEMTを減少させた。まとめると我々の結果は、がんでEMTを標的に設定するための薬理学的戦略を明らかにしており、抗がん療法に対する新たな治療介入への道を開くものだ。

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