Article
人類学:ヨーロッパ南東部における後期銅器時代の農耕社会と牧畜社会との早期の接触
Nature 620, 7973 doi: 10.1038/s41586-023-06334-8
考古遺伝学研究から、先史時代のユーラシア西部で起こった2つの大規模な遺伝的入れ替わり事象が明らかになっている。1つは、紀元前7000~6000年頃に始まった農耕および定住生活様式の広がりに伴うものであり、もう1つは、紀元前3300年頃に始まったユーラシアステップからの牧畜民集団の拡大によるものである。これら2つの事象の間の時期には、冶金、車輪と四輪荷車、ウマの家畜化などの重要な技術革新に基づく新たな経済の勃興があった。しかし、紀元前4250年頃の銅器時代の集落の消滅と、その後の牧畜民の広がりとの間に何が起こったかについては、今なお不明な点が多い。今回我々は、この問題に取り組むため、ヨーロッパ南東部と黒海地方北西部との接触地帯で発見された、この重要な年代の古代人135人のゲノム規模のデータを解析した。その結果、同じ地域の主要な遺跡から出土した新石器時代と銅器時代の集団間には遺伝的な連続性が認められた一方、紀元前4500年頃以降の黒海地方北西部の諸集団には、銅器時代の集団と森林/ステップ地帯の集団に由来する祖先の混合がさまざまな割合で見られ、予想よりも約1000年早い時期に遺伝的・文化的な接触が存在したことが示された。我々は、こうした早期の接触の期間における、農耕民と、さまざまな生態地理的地帯からの移行的な狩猟採集民/遊牧民との間での極めて重要な技術革新の伝達が、紀元前3300年頃の牧畜民集団の形成、興隆、拡大に不可欠であったと考える。

