Article

気候科学:表面のマグマオーシャンを伴わない冷温暴走温室効果

Nature 620, 7973 doi: 10.1038/s41586-023-06258-3

衝突や激しい日射によって生じる、地球の海洋に相当する量の水蒸気大気は、表面にマグマオーシャンを作り出すことが分かっている。しかしこの結果は、完全な対流構造を仮定したものであった。本論文で我々は、矛盾のない気候モデルを用いると、純粋な水蒸気大気は一般に放射層によって形作られ、大気の熱構造は恒星のスペクトルと内部熱流に強く依存するようになることを報告する。断熱プロファイルが適用されない場合、地表はより低温になる。そのため、地球の地殻を溶融させるには、現在の数倍の日射量が必要であるが、これは、太陽が主系列にいる間には起こらない。金星の表面は、水蒸気大気が逃げる前に固化する可能性があり、これは以前の研究とは逆の結果である。最も赤い星(Teffが3000 K未満)の周辺では、水分量がどうであれ、恒星の強制力だけでは地面にマグマオーシャンを形成することはできない。こうした知見は、水蒸気大気の観測可能な兆候や系外惑星の質量と半径の間の関係に影響を及ぼし、TRAPPIST-1(トラピスト-1)惑星系の水分量に課される現在の制約を大きく変える。断熱構造とは異なり、放射–対流プロファイルは不透明度に敏感である。従って、地球型惑星の進化において重要な段階である水蒸気大気のモデルを改良するには、特にH2O吸収帯から遠く離れた、制約の乏しい高圧下での不透明度の新たな測定が必要である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度