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進化学:ミニマル細胞の進化
Nature 620, 7972 doi: 10.1038/s41586-023-06288-x
必須の遺伝子のみを持つミニマル細胞は、生命の存続と安定に欠かせない機構や過程を明らかにすることができる。本論文で我々は、人工のミニマル細胞が、その合成において基盤となった細菌マイコプラズマ・ミコイデス(Mycoplasma mycoides)の非ミニマル細胞と比較して、進化の力にどう応じるかについて報告する。変異率はいずれも、既報の全ての細菌の中で最も高く、ゲノムの最小化による影響は見られなかった。ゲノムの合理化の代償は大きく、50%を超える適応度の低下を招いたが、この損失は2000世代にわたる進化によって取り戻された。選択の働いた標的遺伝子は異なっていたものの、ミニマル細胞の最大増殖率の増大は非ミニマル細胞のものと同等だった。さらに、相対適応度によって進化能力を評価したところ、ミニマル細胞の進化は非ミニマル細胞の進化よりも39%高速であることが分かった。唯一の明白な制約は細胞サイズの進化に関するもので、非ミニマル細胞のサイズは80%増大したのに対し、ミニマル細胞のサイズには変化が見られなかった。この傾向は、細胞の分裂や形態を調節するチューブリンホモログタンパク質をコードするftsZにおける変異のエピスタシス効果を反映している。今回の知見は、最も単純な自律増殖生物の一種の適応度が、自然選択によって急速に増大し得ることを実証している。小さなゲノムを持つ種が進化的な課題をどう克服するのかを理解することによって、宿主に関連した内部共生生物の存続、生物工学用の合理化されたシャーシ株の安定性、合成された人工細胞の標的を定めた改良に関して、極めて重要な知見が得られる。

