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化学:環状サンドイッチ化合物の合成と特性
Nature 620, 7972 doi: 10.1038/s41586-023-06192-4
個々の構成要素を集合させたナノメートルスケールの環状サンドイッチ錯体が合成された。2つの平面有機芳香環が金属イオンにπ配位したサンドイッチ錯体は、有機金属化学の基礎に属する。そうした錯体は、触媒反応、合成、電気化学からナノテクノロジー、材料科学、医学まで多種多様な用途での使用が成功している。こうしたサンドイッチ構造モチーフを延長することによって、有機芳香環と金属原子が交互に重なり合った直線状のマルチデッカー型化合物が得られる。しかし、このようなモチーフを延長して環状マルチデッカー骨格にした先例はない。今回我々は、一連の同形の環状サンドイッチ化合物の設計、合成、特性評価について報告し、これらの化合物の名称として「シクロセン(cyclocene)」を提案する。今回のシクロセンは、18個の繰り返し単位からなり、固体状態でほぼ理想的な円形の閉じた環を形成しており、[cyclo-MII(μ-η8:η8-CotTIPS)]18 (M = Sr, Sm, Eu;CotTIPS = 1,4-(iPr3Si)2C8H62−)という一般式で表される。量子化学計算を行ったところ、イオン性の金属–配位子結合、配位子系のかさ高さ、分散相互作用の影響を大きく受ける閉環時のエネルギー利得という、3者間の独特な相互影響がこの環系の形成を促進するという結論が得られた。これまで、ナノワイヤーなどの応用可能性があるとして研究されているのは、直線状一次元マルチデッカー型サンドイッチ化合物のみであった。今回の環状サンドイッチ化合物の典型例は、新しい機能性有機金属材料へのさらなるイノベーションの扉を開くと予想される。

