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物性物理学:LuH2±xNyに常温常圧近傍の超伝導は存在しない
Nature 620, 7972 doi: 10.1038/s41586-023-06162-w
最近の研究で、窒素ドープ水素化ルテチウムにおける常温常圧近傍での超伝導が示され、これによって、低圧での室温超伝導の探求が全世界の関心の的になった。今回我々は、高圧高温の合成手法を用いて、窒素ドープ水素化ルテチウム(LuH2±xNy)を得た。この材料は暗青色を呈し、X線回折によって空間群Fm3mの構造であることを示す証拠が得られている。この構造は、参考文献1で報告されたものと同じだが、格子定数がわずかに異なっている。ラマン分光法でも、今回の試料が参考文献1で見られたものに類似するパターンが示された。また、エネルギー分散型X線分光法によって、試料中に窒素が存在することが確かめられた。常圧では、350〜2 Kで金属的な挙動が見られ、2.1〜41 GPaの圧力を印加すると、暗青色から紫色、桃色がかった赤色へと徐々に色が変化することが観測された。0.4〜40.1 GPaの圧力で抵抗を測定することによって、金属的な挙動が徐々に強くなるのが観測されたが、2 K以上では超伝導は見られなかった。高圧下での磁化の温度依存性は、100〜320 Kで非常に弱い正のシグナルを示し、磁化は100 Kでの磁場の増加とともに増加した。これらは全て、100 K以上の温度での超伝導では予想されないものである。従って我々は、40.1 GPa以下の圧力では、この窒素ドープ水素化ルテチウムに常温常圧近傍の超伝導は存在しないと結論する。

