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がん:KRAS(G12D)は幹細胞の再プログラム化によって鱗状腺がんを進行させる
Nature 619, 7971 doi: 10.1038/s41586-023-06324-w
多くのがんは複製を促進する体細胞変異によって支配された幹細胞や前駆細胞から生じ、II型肺胞上皮(AT2)細胞の腺腫様形質転換はその典型例である。今回我々は、これとは別のシナリオ、すなわち分化したI型肺胞上皮(AT1)細胞でのKRAS(G12D)発現が、このような細胞を再プログラム化してAT2幹細胞へとゆっくりと非同期的に逆戻りさせ、続いて進行の緩慢な腫瘍を生じさせることを示す。ヒト鱗状腺がんと同様に、この腫瘍の細胞は肺胞壁に沿って非破壊的に徐々に広がり、ERK活性は低い。AT1細胞とAT2細胞は異なる起源細胞として働き、WNT活性化とKRAS(G12D)誘導を同時に行うと異なる応答を示し、AT2由来腺腫の増殖は促進されるが、AT1由来腺腫の増殖は抑制されることが分かった。KRAS(G12D)誘導AT1細胞でERK活性を増強すると、形質転換効率、増殖、鱗状から混合状の腫瘍組織型への進行が促進された。全体的には、AT1細胞が肺腺がんの新たな起源細胞であることを我々は明らかにしており、AT1細胞由来腺腫はヒト鱗状がんの特徴を再現している。さらに、発がん性KRASには、分化した静止状態の細胞を再プログラム化して腺腫への形質転換の途中で親幹細胞へ逆戻りさせる能力があることも明らかになった。本研究はまた、がんの起源細胞が、がんの現在知られている分子プロファイルやドライバーがん遺伝子とは無関係に、その後の挙動に広範かつ持続的な影響を及ぼすことを示している。

