Article
ウイルス学:C型肝炎ウイルスRNAはフラビンアデニンジヌクレオチドによる5′キャップ構造を持つ
Nature 619, 7971 doi: 10.1038/s41586-023-06301-3
RNAウイルスは、5′キャップ形成をはじめとして、ウイルスゲノムを守るための巧妙な戦略を複数進化させてきた。しかし、慢性感染や肝硬変、肝臓がんを引き起こすC型肝炎ウイルス(HCV)のRNAの5′キャップは、これまでのところ見つかっていない。本論文で我々は、細胞代謝物であるフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)が、ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼによって非カノニカルな開始ヌクレオチドとして使われ、HCV RNAの5′FADキャップとなることを示す。HCV FADキャップ形成の頻度は約75%であり、これは全生物界で観察されるあらゆるRNA代謝物キャップの頻度として最も高い。FADキャップ形成は、HCV単離株では複製中間体のマイナス鎖と一部のプラス鎖に保存されていた。5′FADキャップはまた、患者試料や、ヒト肝臓キメラマウスモデルの肝臓と血清から単離したHCV RNAにおいて、in vivoでも観察された。さらに我々は、5′FADキャップ形成はRIG-Iを介した自然免疫認識からRNAを保護するが、HCV RNAを安定化させるわけではないことを示す。これらの結果は、ウイルスRNAキャップ形成の新たな戦略として、細胞代謝物を用いたキャップ形成を明らかにしており、この戦略は他のウイルスでも用いられていて、抗ウイルス治療の結果や感染の持続性に影響する可能性がある。

