免疫学:腸内細菌による脂肪酸異性化は上皮内T細胞を調節する
Nature 619, 7971 doi: 10.1038/s41586-023-06265-4
ヒトの腸マイクロバイオームは、宿主や食餌に由来する天然物を多数の生理活性代謝物に絶えず変換している。食餌由来の脂肪は、必須の微量栄養素であり、脂肪分解を受けて遊離脂肪酸(FA)を放出し、これが小腸で吸収される。腸の共生細菌は、リノール酸(LA)など、一部の不飽和FAを修飾して、さまざまな腸内FA異性体を作り出す。これらの異性体は宿主の代謝を調節し、抗発がん性を持つ。しかし、この食餌–微生物FA異性化ネットワークが宿主の粘膜免疫系に影響を及ぼす仕組みについてはほとんど分かっていない。今回我々は、食餌由来の要因と微生物要因の両方が腸LA異性体(抱合型LA〔CLA〕)のレベルに影響を及ぼし、そして次にCLAが、小腸でCD8ααを発現するCD4+上皮内リンパ球(IEL)という独特な集団を調節することを報告する。ノトバイオートマウスにおいて、腸の個々の共生細菌株のFA異性化経路を遺伝的に除去すると、CD4+CD8αα+ IELの数が有意に減少した。CLAを回復させると、転写因子であるHNF4γ(hepatocyte nuclear factor 4γ)の存在下でCD4+CD8αα+ IELレベルが上昇した。機構的には、HNF4γは、インターロイキン18シグナル伝達を調節することにより、CD4+CD8αα+ IELの発生を促進する。マウスで、T細胞においてHNF4γを特異的に欠失させると、腸の病原体感染による早期死亡につながった。我々のデータは、細菌FA代謝経路が、CD4+CD8αα+であったCD4+ T細胞の相対数を調節することにより、宿主上皮内の免疫学的恒常性の制御において、新たな役割を担っていることを明らかにしている。

