材料科学:粘度調節によるマイクロLEDディスプレイ用の流体自己集積化
Nature 619, 7971 doi: 10.1038/s41586-023-06167-5
無機発光ダイオード(LED)の微視的「粒子」(すなわちチップレット)のアレイがピクセルを構成する、マイクロLEDディスプレイと呼ばれるディスプレイは、消費電力、色飽和、輝度、安定性の観点から、有機LED系の市販ディスプレイに性能が勝る可能性があり、画像焼き付きの問題もないので、かなりの注目を集めてきた。こうしたディスプレイを製造するには、デバイス性能を最高にする目的で別々のウエハー上にLEDチップレットをエピタキシャル成長させた後、ディスプレイ基板に転写しなければならない。転写しなければならないLEDの数が膨大である(例えば、50インチの超高解像度ディスプレイには100 μm未満のチップレットが2400万個必要となる)ことを考慮すると、マイクロLEDディスプレイの商品化には、数千万個の個々のLEDを低コストかつ高スループットで集積化できる手法が必要である。今回我々は、単純な撹拌に基づく表面張力駆動型の流体自己集積化(FSA)法によって、60秒で集積させて収率99.88%で得られた、直径45 μm、厚さ5 μmの円盤状GaNチップレット1万9000個以上からなるマイクロLEDライティングパネルを実証する。100 μm未満のチップレットを用いてこのレベルの大規模高収率FSAを作成することは、チップレットの慣性が小さいため、かなりの難題と考えられていた。この難題を克服するカギとなる知見は、少量のポロクサマーを集積化溶液に添加すると、粘度が増し、ひいては液体からチップレットへの運動量移行が増大することである。今回の結果は、FSAによるフルカラーマイクロLEDディスプレイの低コスト高スループット製造という最終的な目標への大きな進展である。

