生物工学:大腸菌ゲノムの区画の連続的合成とメガ塩基規模のヒトDNAアセンブリ
Nature 619, 7970 doi: 10.1038/s41586-023-06268-1
全ゲノム合成は、生物の機能を理解し、機能を拡張するための強力な手法になる。大きなゲノムを迅速かつスケーラブルに並列で構築するには、(1)より短い前駆体からメガ塩基のDNAを組み立てる方法、および(2)生物のゲノムDNAを合成DNAで迅速かつスケーラブルに置き換える戦略が必要である。今回我々は、細菌人工染色体(BAC)の段階的な挿入合成法であるBASIS(BAC stepwise insertion synthesis)を開発したことを報告する。これは大腸菌(Escherichia coli)エピソームでDNAのメガ塩基規模のアセンブリを行う方法である。我々はBASISを用いて、1.1 MbのヒトDNAを組み立てた。このヒトDNAには、多数のエキソン、イントロン、反復配列、グアニン四重鎖、長い散在性の反復配列(LINE)および短い散在性の反復配列(SINE)が含まれている。BASISは、さまざまな生物の合成ゲノムを構築するための強力なプラットフォームとなる。我々はまた、ゲノムの連続的合成法CGS(continuous genome synthesis)も開発した。これは、大腸菌ゲノムの100 kbの連続するDNA塩基配列を合成DNAに連続的に置き換える方法であり、CGSでは合成DNAとゲノムの間の交差が最小限になるので、各100 kbの置換の出力が、塩基配列解読なしで、次の100 kbの置換の入力になる。我々はCGSを用いて、大腸菌ゲノムの全合成の重要な中間体である0.5 Mb区画を5つのエピソームから10日間で合成した。我々は、CGSを並列化し、迅速なオリゴヌクレオチド合成およびエピソームアセンブリと組み合わせ、さらに、異なる合成ゲノム区画を持つ株から集めて単一ゲノムにまとめる迅速な方法と共に用いることで、機能的設計から大腸菌の全ゲノムを、2カ月未満で合成できるようになると予想する。

