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がん:がんでのY染色体喪失は適応免疫の回避によりがん増殖を促進する
Nature 619, 7970 doi: 10.1038/s41586-023-06234-x
Y染色体喪失(LOY)は、膀胱がんの10~40%を含む多様なタイプのがんで観察されるが、LOYの臨床的および生物学的な重要性については明らかにされていない。本論文で我々は、ゲノムおよびトランスクリプトームの研究結果を用いて、LOYが膀胱がん患者の予後不良と相関していることを明らかにする。我々は、自然に生じたLOY変異膀胱がん細胞と、CRISPR–Cas9によりY染色体を標的として欠失させた膀胱がん細胞で詳細な解析を行った。その結果、Y染色体陽性(Y+)腫瘍とY染色体陰性(Y−)腫瘍はin vitroでは同じように増殖するが、免疫能が正常な宿主ではY−腫瘍はY+腫瘍よりも悪性度が高く、これはT細胞に依存していることが分かった。高次元フローサイトメトリー解析では、Y−腫瘍が腫瘍微小環境内のCD8+ T細胞の顕著な機能不全や疲弊を促進することが明らかになった。これらの知見は、ヒト膀胱がんの単一核RNA塩基配列解読と空間的プロテオミクス評価を用いて立証された。注目すべきことに、Y−腫瘍は担がんマウスとがん患者の両方で、抗PD-1免疫チェックポイント阻害療法に対して、Y+腫瘍と比べてより高い応答を示す。まとめるとこれらの結果は、LOY変異を持つがん細胞はT細胞機能を変化させ、T細胞疲弊を促して、PD-1標的免疫療法への感受性を増強することを明らかにしている。本研究は、LOY変異の持つ基礎生物学的意味とがん免疫療法を向上させるためのバイオマーカー候補についての考察を示している。

