Article
惑星科学:系外巨大惑星上の酸化バナジウムとコールドトラッピングの急峻な開始
Nature 619, 7970 doi: 10.1038/s41586-023-06134-0
巨大惑星における難揮発性元素の量から、その形成史に関する重要な知見を得ることができる。太陽系の巨大惑星は低温であるため、難揮発性元素は雲層の下で凝縮し、これによって検知できる元素は揮発性の高い元素に限られている。最近、超高温の系外巨大惑星でいくつかの難揮発性元素が測定できるようになり、それらの存在量が、おそらく光球から凝縮したチタンを含む太陽系星雲とほぼ一致していることが示されている。本論文で我々は、超高温巨大惑星WASP-76b上の14種類の主要な難揮発性元素の存在量を精密に絞り込み、その結果が、原始太陽からの明確な逸脱と凝縮温度での急峻な開始を示していることを報告する。具体的には、我々は、ニッケルが濃集していることを見いだした。これは、この惑星の進化の過程で分化した天体のコアが集積した証拠である可能性がある。凝縮温度が1550 K以下の元素は、これ以外の点では太陽とほぼ一致しているが、1550 Kを超えると強い枯渇へと急激に遷移する。これは、夜側でのコールドトラッピングによってうまく説明される。さらに我々は、WASP-76b上で、大気の熱逆転を引き起こすと長く示唆されてきた酸化バナジウムを明確に検出し、その吸収シグナルに全球規模の東西非対称性があることも観測した。総合すると今回の知見は、巨大惑星の難揮発性元素量がおおむね恒星に似ていることを示すとともに、凝縮温度以下のコールドトラップが存在すれば、ホットジュピターのスペクトルの温度系列に、鉱物種が存在するか全く存在しないかという急激な遷移が見られる場合があること示唆している。

