Article
量子物理学:極低温原子による分数量子ホール状態の実現
Nature 619, 7970 doi: 10.1038/s41586-023-06122-4
強く相互作用するトポロジカル物質は、量子情報技術に応用できる可能性がある根本的に新しい現象を示す。その象徴的な例が分数量子ホール(FQH)状態で、磁場と強い相互作用の協奏によって、分数電荷を持つ準粒子、長距離エンタングルメント、エニオン交換統計が生じる。合成磁場エンジニアリングの進歩によって、制御された量子系においてこうしたエキゾチックな状態を作り出すことへの期待が高まっている。しかし、最近の光のラフリン状態を除けば、人工的な系においてFQH状態を生み出すことは、依然として困難である。今回我々は、光格子中の極低温原子を用いてFQH状態を実現したことを報告する。この状態は、16のサイトに2つの粒子を伴うボソンν = 1/2ラフリン状態の格子版である。このミニマルな系は既に、ラフリン型FQHを裏付ける多くの特徴を捉えており、我々は、二体相互作用の抑制を観測し、密度相関に特徴的な渦構造を見いだすとともに、磁気摂動に対するバルク応答によってσH/σ0 = 0.6(2)の分数ホール伝導度を測定した。さらに我々は、磁場を調整することによって、多体ギャップの分光学的研究を通して、通常領域とFQH領域の間の遷移点をマッピングした。今回の研究によって、極低温原子を用いて高度にエンタングルしたトポロジカル物質を調べる出発点が得られる。

