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気候科学:温暖な中新世において十分に酸素化されていた東部熱帯太平洋

Nature 619, 7970 doi: 10.1038/s41586-023-06104-6

海洋の酸素含有量は気候変動の影響を受けやすく、ここ数十年で減少しており、酸素欠乏域(ODZ)、すなわち酸素濃度が5 μmol kg−1未満の中深度海域において最も影響が大きくなっている。気候温暖化の地球システムモデルシミュレーションは、少なくとも2100年まではODZが拡大すると予測している。しかし、数百年から数千年の時間スケールでの応答は、まだよく分かっていない。今回我々は、現在より温暖だった中新世最温暖期(MCO;1700万~1480万年前)における、海洋酸素化の応答の変化を調べた。ODZの範囲と度合いに敏感な古海洋学的代理指標である、我々の浮遊性有孔虫のI/Caデータとδ15Nデータから、MCOにおける東部熱帯太平洋(ETP)の溶存酸素濃度が100 μmol kg−1を超えていたことが示された。Mg/Caから導かれた対になった温度データからは、西から東への温度勾配の増大とETPの水温躍層の浅化に応答してODZが発達したことが示唆された。我々の記録は、ここ数十年から数百年のデータのモデルシミュレーションの結果と一致しており、これは、赤道太平洋の貿易風が温暖期に弱まったことでETPにおける湧昇流が減少した可能性があり、その結果、赤道域の生産力と海面下の酸素需要が東部で希薄化したことを示唆している。これらの知見は、MCOの間などの温暖気候状態が海洋の酸素化にどのような影響を及ぼし得るかを明らかにしている。MCOが、将来起こり得る温暖化と類似した気候期と見なされるとすれば、今回の知見は、最近の貧酸素化傾向とETPにおけるODZの拡大がゆくゆくは逆転する可能性があることを示唆するモデルを裏付けているように思われる。

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