免疫療法:DNA損傷応答、核酸、抗腫瘍免疫の相補性
Nature 619, 7970 doi: 10.1038/s41586-023-06069-6
免疫チェックポイント阻害(ICB)免疫療法は、特定のがんの第一選択の治療法であるが、奏効する機構はまだ完全には理解されていない。さらに、ICBが有効ながん患者は少数に限られ、十分に有益な治療応答バイオマーカーは得られていない。DNA損傷修復異常の選択的利用も、がんの標準的な治療法で、DNA損傷応答(DDR)についての理解が深まったことで弾みがついている。DDRとICBは密接に結び付いていて、異常なDDRによって免疫原性のあるがんネオアンチゲンが作り出され、ICB療法の有効性が高まる可能性があり、腫瘍変異量は、ICBへの応答の不完全ではあるが良いバイオマーカーである。ICBの有効性に関するDDR研究は当初、ネオアンチゲン量への関与に重点が置かれていた。しかし、ICBの有効性は、外因性DNA損傷あるいはDNA複製などの内因性過程から生じる核酸の免疫原性の影響によって複雑になることを示唆する証拠が増えてきている。化学療法、放射線、あるいは選択的DDR阻害剤(PARP阻害剤など)は、異常な核酸を生じることで、ネオアンチゲンとは独立に、腫瘍の免疫原性を誘導できる。免疫におけるこうした機能とは無関係に、サイクリックGMP–AMPシンターゼ(cGAS)やPD-L1などの免疫療法の標的は、DDRあるいはDNA修復装置とクロストークして、DNAを損傷する物質への応答に影響を及ぼすことがある。本論文で我々は、DDR、核酸の免疫原性、免疫療法の有効性の間の急速に進化しつつある多面的な相互作用について、特にICBに重点を置いて概説する。これらの相互に関連する過程を理解することで、ICB療法の失敗の理由を説明し、治療に利用できるがんの新たな脆弱性を明らかにすることができる。最後に、未解決の主な疑問と新たな研究の方向性を取り上げることで締めくくる。

