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生化学:緩やかな標的化ルールはPIWIタンパク質によるトランスポゾンのサイレンシングを助ける

Nature 619, 7969 doi: 10.1038/s41586-023-06257-4

真核生物では、siRNA(small interfering RNA)やマイクロRNA(miRNA)といった小分子RNAの誘導により、AGOクレードのアルゴノートタンパク質が遺伝子発現を調節し、ゲノムを外部の脅威から守っている。アルゴノートタンパク質の第二のクレードであるPIWIタンパク質は、動物だけが持っている。PIWIタンパク質は、PIWI結合RNA(piRNA)を用いて相補的なトランスポゾン転写産物を抑制する。理論的には、トランスポゾンはpiRNAとの相補性を低下させるような変異を標的部位に起こすことによって、抑制を回避することができる。今回我々は、PIWIタンパク質はAGOタンパク質とは違って、piRNAガイドと部分的にしか対合しない転写産物を効率よく切断することを報告する。マウスとカイメンのPIWIタンパク質による標的との結合と切断を調べたところ、PIWIによる切断は、切断するリン酸の両側の塩基を含め、どのような標的ヌクレオチドについても誤対合を許容することが明らかになった。PIWIによる結合もしくは切断には、カノニカルなシード領域の対合すら必要ではなく、これはシード領域から切断する結合を越えたヌクレオチドまで途切れなく標的と対合することが必要な植物や動物のAGOタンパク質とは異なっている。従って、PIWIタンパク質は、AGOタンパク質に比べると、新たに獲得したトランスポゾンや速やかに分岐しつつある内在性トランスポゾンを、新しい小分子RNAガイドに頼ることなく標的にするのにずっと適した特性を備えている。逆に言えば、PIWIによる切断に必要な最少の要件は、宿主RNAの偶発的なサイレンシングを回避するのに十分である。これらの知見は、ゲノムをトランスポゾンから守るにはAGOタンパク質よりもPIWIタンパク質の方が生物学的に有利なことを明確に示しており、動物の進化においてpiRNA経路が保持されてきた理由を示唆している。

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