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細胞生物学:FSP1の相分離がフェロトーシスを促進する

Nature 619, 7969 doi: 10.1038/s41586-023-06255-6

フェロトーシスは、治療抵抗性のがんや脱分化がんを含む難治性の腫瘍に対抗する上で、非常に有望な手法として注目されている。最近、FSP1(ferroptosis suppressor protein-1)が、電子供与体としてのNAD(P)H/H+と、ミトコンドリア外ユビキノンあるいは外因性のビタミンKと共に、第二のフェロトーシス抑制経路であることが明らかにされた。この経路は、システイン/シスチン–グルタチオン(GSH)–グルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)経路とは独立に、脂質の過酸化を効率よく防ぐ。今回我々は、治療薬としての次世代フェロトーシス誘導剤となるFSP1阻害剤を開発するために、小分子ライブラリースクリーニングを行い、3-フェニルキナゾリノンというクラスの化合物(icFSP1と呼ぶ)を強力なFSP1阻害剤として特定した。icFSP1は、オンターゲットなFSP1阻害剤として初めて報告されたiFSP1とは異なり、FSP1の酵素活性を競合的に阻害するのではない。その代わりに、フェロトーシス誘導に先行してFSP1を細胞内で膜から乖離させ、局在変化によるFSP1の凝縮を引き起こして、GPX4阻害との相乗効果を示す。icFSP1が誘導するFSP1の凝縮体は、相分離と一致する液滴様の性質を有する。相分離は、生物学的活性を調節する、最近明らかになった広く見られる機構である。FSP1のN末端のミリストイル化、異なるアミノ酸残基、無秩序な低複雑性の天然変性領域が、細胞内やin vitroでのFSP1依存的な相分離に不可欠であることが明らかになった。さらに我々は、icFSP1が腫瘍増殖を抑え、腫瘍内でFSP1の凝縮を引き起こすことを、in vivoでも実証した。このように今回の結果は、icFSP1が独特な作用機序を持ち、フェロトーシス誘導剤との相乗効果によりフェロトーシス細胞死応答を促進することを示唆しており、効果的な抗がん治療としてFSP1依存性の相分離を標的とする根拠を提供するものである。

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