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神経科学:神経ペプチドと神経伝達物質の相反するシグナルの回路上での協調

Nature 619, 7969 doi: 10.1038/s41586-023-06246-7

急速に作用する神経伝達物質と緩徐に調節を行う神経ペプチドは、別個のシナプス小胞からではあるが、中枢神経系のニューロンから同時に放出される。例えば刺激性と抑制性のように、相反する作用を持つ神経伝達物質と神経ペプチドが、同時に放出された後にどのように協働して神経回路出力の制御を行うのか、その機構はいまだ明らかにされていない。この解明は、これら2つのシグナル伝達経路を、細胞特異的かつ回路特異的な方法で選択的に分離できないことから困難である。今回我々は、2つの異なる脳領域にある別個の細胞タイプで同時に、異なるDNAリコンビナーゼを利用して神経伝達物質と神経ペプチドのそれぞれの関連遺伝子に別々にCRISPR–Cas9変異誘発を促す、遺伝子ベースの解剖的分離手法を開発した。これにより、外側視床下部にあって、刺激性の神経ペプチドであるニューロテンシンと抑制性の神経伝達物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)を産生するニューロンが、これらのシグナルを使って腹側被蓋野のドーパミン産生ニューロンを協調的に活性化していることが実証された。また、外側視床下部のニューロテンシンニューロンから放出されたGABAは、腹側被蓋野内のGABAニューロンを抑制し、ドーパミンニューロンを脱抑制してカルシウムの急速な上昇を引き起こす一方、ニューロテンシンは、ドーパミンニューロンで不活性化の遅いカルシウムシグナルを直接生成し、これは1型ニューロテンシン受容体(Ntsr1)の発現に依存することも示された。さらに、これら2つのシグナルは、協働してドーパミンニューロンの応答を調節し、行動応答を最大化していることも分かった。このように、相反するシグナルを持つ神経伝達物質と神経ペプチドは、異なる細胞タイプを介して異なる時間スケールで回路出力を上げ、行動を最適化している。

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