構造生物学:EMCシャペロン–CaVの構造から明らかになったイオンチャネルの組み立て中間体
Nature 619, 7969 doi: 10.1038/s41586-023-06175-5
電位依存性イオンチャネル(VGIC)は複数の構造単位からなり、機能するにはそれらが集合することが必要である。VGICのサブユニットが集合する仕組みや、シャペロンタンパク質が必要かどうかは、構造学的には解明されていない。高電位活性化型カルシウムチャネル(CaV)は、複数サブユニットからなる典型的なVGICで、その機能とトラフィッキングはポアを形成するCaV1またはCaV2 CaVα1サブユニット、それに補助的なCaVβおよびCaVα2δサブユニットの間の相互作用の強い影響を受ける。今回我々は、CaVβ3と結合したヒトの脳および心臓のCaV1.2がシャペロン(小胞体膜タンパク質複合体〔EMC〕)と結合した状態、および組み立てられたCaV1.2–CaVβ3–CaVα2δ-1チャネルについて、クライオ電子顕微鏡構造を示す。これらの構造から、EMCとそれに結合するクライアントとの複合体の描像が得られるとともに、膜貫通(TM)部分と細胞質(Cyto)がドッキングするEMC部位が突き止められ、これらの部位とクライアントであるチャネルの間の相互作用によりポア形成サブユニットの部分的な引き抜きが起こって、CaVα2δ相互作用部位が開いて広がることが分かった。その構造から、ガバペンチノイド類の鎮痛・抗不安薬が結合するCaVα2δの部位が明らかになり、EMCとCaVα2δのチャネルとの相互作用は相互排他的であることが示され、EMCからCaVα2δへの結合相手の受け渡しには二価イオン依存性段階とCaV1.2要素の秩序化が含まれることが示された。EMC–CaV複合体の崩壊はCaVの機能を損ない、これは、EMCがチャネル集合を促進するチャネルホルダーゼとして機能していることを示唆している。まとめると、得られた構造からCaV集合中間体やEMCのクライアント結合部位が明らかになり、これらはVGICなどの膜タンパク質の生合成に広く関わっていると考えられる。

