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進化学:複雑な生命体の失われた世界とクラウン群真核生物の遅い出現
Nature 618, 7966 doi: 10.1038/s41586-023-06170-w
真核生物が繁栄を遂げたのは、地球史の意外なほど遅い時期であったと見られる。この考え方は、原生代の中期(16億~8億年前頃)の海洋堆積物中において真核生物の特徴を持つ化石の多様性が低いこと、そして、真核生物の細胞膜のステロール類の分子化石であるステラン類が存在しないことに基づいている。真核生物の痕跡のこうした希少性は、真核生物の最終共通祖先(LECA)が18億年以上前から約12億年前の間に既に出現していたことを示唆する分子時計と折り合いを付けるのが難しい。また、LECAの数億年前には、ステム群真核生物が存在したはずである。今回我々は、原生代中期の堆積岩中に大量のプロトステロイド類を発見したことを報告する。これらの原始的な化合物は、コンラート・ブロッホの予言通り、構造が現代のステロール生合成経路の初期の中間体と同じため、これまで気付かれることがなかった。このプロトステロイド類は、生態学的に重要な「プロトステロール生物相」が、遅くとも16億4000万〜約8億年前の水域環境には広範かつ豊富に存在しており、おそらく太古のプロトステロール生成細菌と分岐の古いステム群真核生物で構成されていたと考えられることを示している。現代の真核生物が姿を現し始めたのはトニアン紀(10億~7億2000万年前)であり、これは、約8億年前までに起こった紅藻類の増殖によって促進された。この「トニアン紀の変容(Tonian transformation)」は、地球史において最も重大な生態学的転換点の1つとして出現した。

