構造生物学:FGFホルモンシグナル伝達の構造基盤
Nature 618, 7966 doi: 10.1038/s41586-023-06155-9
α/βクロトー(Klotho)共受容体は、繊維芽細胞増殖因子(FGF)ホルモン(FGF19、FGF21およびFGF23)と細胞表面にあるそれらのコグネイトFGF受容体(FGFR1–4)をまとめ合わせることによって、内分泌に関わるFGF–FGFR複合体を安定化する。しかし、これらのホルモンはさらに、FGFRの二量体化/活性化とそれによる重要な代謝活性を引き起こすための共受容体として、ヘパラン硫酸(HS)プロテオグリカンを必要とする。HSの共受容体としての役割の基盤となる分子機構を明らかにするために、我々は、FGF23–FGFR–αKlotho–HSの比が1:2:1:1という組成の3つの異なる四者複合体のクライオ電子顕微鏡構造を解いた。これらの複合体はそれぞれ、受容体構成要素としてFGFR1(FGFR1c)、FGFR3(FGFR3c)もしくはFGFR4の「c」スプライシングアイソフォームを持つことが特徴である。これらの構造(細胞ベースの受容体相補性およびヘテロ二量体化実験によって裏付けが得られた)から、FGF23–FGFR–αKlothoが1:1:1である三者複合体中のFGF23と1番目のFGFRが協働して、単独状態のFGFR分子を2番目として引き入れることが単一のHS鎖によって可能になり、非対称な受容体二量体化と活性化が引き起こされることが明らかになった。しかし、αKlothoは2番目の受容体の誘引と二量体化に直接関わってはいない。我々はまた、受容体二量体化の非対称な方式が、HSに依存している場合にのみシグナル伝達を行うパラクリンFGFへも適用できることを示す。我々の構造学的および生化学的データにより、現在通用している対称的なFGFR二量体化という枠組みが覆され、ヒトの代謝性疾患やがんの治療薬としてのFGFシグナル伝達モジュレーターを合理的に発見するための青写真が示された。

