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分子生物学:改変したtRNAによる細胞内やin vivoでのナンセンス変異の抑制

Nature 618, 7966 doi: 10.1038/s41586-023-06133-1

遺伝性の全ての遺伝病の約11%は、ナンセンス変異が根本原因である。ナンセンス変異は、tRNAによって解読されるセンスコドンを未成熟終止コドン(PTC)に変換し、その結果、突然の翻訳終了が起こる。ナンセンス変異を抑制する1つの戦略は、新たに出現したPTCと塩基対形成するようアンチコドンを変化させた天然のtRNAを使って翻訳を進めさせることである。しかし、tRNAを利用する遺伝子治療では、臨床効果と安全性の最適な組み合わせが得られておらず、現時点ではナンセンス変異を持つ人のための治療法は存在しない。今回我々は、天然のtRNAの塩基配列を、それらが運搬するアミノ酸の物理化学的特性に合わせて個別に微調整することによって、効率的なサプレッサーtRNA(sup-tRNA)に変換する戦略を報告する。マウスでの脂質ナノ粒子(LNP)を用いたsup-tRNA(LNP–sup-tRNA)の静脈内投与や気管内投与は、ナンセンス変異を持つ遺伝子からの機能的なタンパク質の産生を回復させた。リボソームプロファイリングで調べたところ、LNP–sup-tRNA製剤が本来の内在性終止コドンで認識可能な読み過ごし(リードスルー)を引き起こすことはなかった。嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質遺伝子(CFTR)に存在する臨床的に重要なPTCについて、このsup-tRNAは細胞系や患者由来の鼻上皮での発現や機能を復元し、気道体積の恒常性を回復させた。これらの結果によって、標的PTCの抑制において高い分子安全性プロファイルと高い有効性を持つ、tRNAを利用した治療法を開発するための枠組みがもたらされる。

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