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有機化学:1,2,3-シクロヘキサトリエンとその誘導体のひずみ促進型反応
Nature 618, 7966 doi: 10.1038/s41586-023-06075-8
1825年以降、分子式C6H6を持つ化合物(特にベンゼン)は、綿密な科学的研究の対象となっている。こうした化合物のうち、1,2,3-シクロヘキサトリエンは、ほとんど見落とされてきた。このひずんだ異性体は、ベンゼンと比較してエネルギーが大幅に高く(約100 kcal mol−1)、その類縁体であるベンザインや1,2-シクロヘキサジエンと同じように、ひずみ促進型反応を起こすはずである。しかし、1,2,3-シクロヘキサトリエンの実験的研究は、ほとんど知られていない。今回我々は、1,2,3-シクロヘキサトリエンとその誘導体が、さまざまな付加環化、求核付加、σ結合挿入を含む多くの反応モードに関与することを実証する。1,2,3-シクロヘキサトリエンの非対称誘導体の実験研究と計算研究によって、ひずんだトリエンは、反応性が高く寿命が短いにもかかわらず、高選択的に反応する可能性があることが分かった。さらに、1,2,3-シクロヘキサトリエンを多段階合成に組み込むことによって、トポロジー的に複雑な分子や立体化学的に複雑な分子の迅速合成にこの化合物を利用できることが示された。まとめると、今回の取り組みによって、ひずんだC6H6異性体である1,2,3-シクロヘキサトリエンとその誘導体のさらなる研究と、それらの重要化合物の合成への応用が可能になるはずである。

