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材料科学:絡み合いを通して人工的に作製された軟骨様タンパク質ヒドロゲル
Nature 618, 7966 doi: 10.1038/s41586-023-06037-0
荷重に耐える筋肉や軟骨などの組織は、高い弾性、高い靭性、速やかな回復性を示すが、剛性はさまざまである(軟骨は筋肉よりも剛性が大幅に高い)。筋肉は、筋肉タンパク質タイチンにおける微調整された強制的なドメインの解きほぐしとたたみ直しを通して、その高い靭性を実現している。一方で、関節軟骨は、コラーゲンとプロテオグリカンからなる絡み合ったネットワークを通して高い剛性と靭性を実現している。タンパク質力学やタンパク質工学の進歩によって、タイチンを模倣した弾性タンパク質や軟質のタンパク質生体材料を人工的に作製して、筋肉の受動的弾性を模倣することが可能になった。しかし、剛性や靭性が高いタンパク質生体材料を人工的に作製して、軟骨などの硬組織を模倣したり、軟骨の幹細胞や前駆細胞の分化向けに剛性の合成マトリックスを開発したりすることは、より困難である。今回我々は、分子鎖の絡み合いを用いて、タンパク質系ヒドロゲルの靭性を損なわずに剛性を大幅に高めたことを報告する。我々は、折りたたまれた弾性タンパク質でできたヒドロゲルネットワークに分子鎖の絡み合いを導入することで、高い剛性、高い靭性、速やかな回復性、極めて高い圧縮強度などの互いに両立不可能な機械的特性をシームレスに兼ね備えた、高剛性かつ高靭性のタンパク質ヒドロゲルを人工的に作製し、軟質タンパク質生体材料を、軟骨に近い機械的特性を示す高剛性で高靭性の材料へと効果的に変換することができた。今回の研究から、骨軟骨欠損修復などの医用生体工学、材料科学、材料工学に応用される、タンパク質系の高剛性で高靭性の生体材料の人工的作製への一般的な道筋が得られる。

