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化学:ベンゼンのバイオアイソスターとしてのキュバンの一般的合成
Nature 618, 7965 doi: 10.1038/s41586-023-06021-8
薬剤候補のベンゼン環をsp3混成バイオアイソスター(生物学的等価体)で置換すると、一般的に、生物活性を維持しつつ薬物動態特性が向上する。環ひずみはC–H結合に高い結合強度とひいては代謝安定性を付与するため、ビシクロ[1.1.1]ペンタンやキュバンなどの剛性が高くひずんだ骨格が特に適している。キュバンは、幾何学的にベンゼンと最もよく一致しているため、理想的なバイオアイソスターである。しかし、現時点では、薬物設計における全てのキュバンは、ほぼ全てのベンゼンバイオアイソスターと同様に、一置換またはパラ置換ベンゼン環の代替としての役割しか果たしていない。これは、1,3-二置換キュバン前駆体や1,2-二置換キュバン前駆体を得ることが困難だからである。薬物設計におけるキュバンの採用はさらに、金属触媒による原子価異性化の競合のために、クロスカップリング反応とキュバン骨格の併用が難しいことから阻まれている。今回我々は、便利なシクロブタジエン前駆体を用いて1,3-二置換キュバンの構成要素を、そして、光分解C–Hカルボキシル化反応を用いて1,2-二置換キュバンの構成要素を合成する適切な経路を報告する。さらに我々は、銅の低速酸化的付加と高速還元的脱離を利用して、C–N、C–C(sp3)、C–C(sp2)、C–CF3クロスカップリングプロトコルを開発した。今回の研究で、全てのキュバン異性体を簡便な合成によって薬剤候補にすることが可能になるため、オルト置換、メタ置換、パラ置換ベンゼンを理想的なバイオアイソスターに置き換えることが可能になる。

