細胞生物学:ユビキチン化は小胞体のERファジーとリモデリングを調節する
Nature 618, 7964 doi: 10.1038/s41586-023-06089-2
小胞体(ER)は、ERファジーと呼ばれる選択的なオートファジー経路を介して絶えずリモデリングされている。この過程ではERファジー受容体が中心的な役割を果たしているが、その調節機構はいまだにほとんど解明されていない。今回我々は、ERファジー受容体FAM134BのRHD(reticulon homology domain)のユビキチン化が、受容体のクラスター形成と脂質付加されたLC3Bへの結合を促進し、これによってERファジーが誘発されることを明らかにする。分子動力学(MD)シミュレーションを用いて、ユビキチン化によってモデル二重層内でRHDの構造に摂動が加わり、膜の湾曲誘導が促進される様子が明らかになった。RHD上のユビキチン分子が隣接するRHD間の相互作用を仲介して密な受容体クラスターが形成され、これが脂質二重層の大規模なリモデリングを促進する。膜のリモデリングは、リポソームとユビキチン化FAM134Bを使ってin vitroで再現された。超高分解能顕微鏡を用いることにより、細胞内でFAM134Bのナノクラスターとマイクロクラスターが見つかった。定量的画像解析により、FAM134Bのオリゴマー形成の増加とクラスターのサイズ拡大にユビキチンが関与することが明らかになった。また、ERファジー受容体の多量体クラスター中で、E3リガーゼAMFRがFAM134Bのユビキチン化を触媒し、ERファジーの動的フラックスを調節することも分かった。これらの結果は、ユビキチン化が受容体のクラスター形成を介してRHDの機能を高め、ERファジーを促進し、細胞の需要に応じて小胞体のリモデリングを制御していることを示している。

