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発生生物学:母乳中のγ-リノレン酸は心臓の代謝成熟を推進する
Nature 618, 7964 doi: 10.1038/s41586-023-06068-7
出生は心筋細胞にとって代謝的な難題であり、それは、心筋細胞は出生後のエネルギー産生に向けてエネルギー源の優先順位をグルコースから脂肪酸へと変化させるためである。この適応は部分的には分娩後の環境変化によって引き起こされるが、心筋細胞の成熟を調整する分子はまだ分かっていない。今回我々は、母親から供給されるγ-リノレン酸(GLA;母乳に多く含まれる18:3オメガ6脂肪酸)がこの移行を調整することを示す。GLAは、胎仔期から心筋細胞で発現していてリガンドによって調節される、転写因子レチノイドX受容体(RXR)に結合してこれを活性化する。多面的なゲノム規模解析により、胚の心筋細胞でRXRが欠失するとクロマチン全体像に異常が生じ、ミトコンドリアの脂肪酸の恒常性を制御しているRXR依存性遺伝子発現シグネチャーの誘導が妨げられることが分かった。続いて起こる代謝移行の異常では、ミトコンドリアにおける脂質由来のエネルギー産生の鈍化とグルコース消費の亢進が特徴として見られ、周産期の心機能不全と死亡につながる。また、GLAを補充すると、心筋細胞においてミトコンドリア脂肪酸恒常性シグネチャーのRXR依存性発現が、in vitroでもin vivoでも誘導された。このように本研究で、周産期の心臓代謝の母系制御を支える重要な転写調節機構として、GLA–RXR軸が特定された。

