がんゲノミクス:原発固形腫瘍と転移固形腫瘍のがん種横断的全ゲノム比較
Nature 618, 7964 doi: 10.1038/s41586-023-06054-z
転移がんは依然として、ほぼ必ず命に関わる疾患である。従って、がんの進行や治療への応答をより深く理解することが最重要であることに変わりはない。今回我々は、全ゲノム塩基配列解読された7108腫瘍からなる2つの対ではない原発腫瘍と転移腫瘍のコホートについて、ハーモナイズしたがん種横断的な解析(あるいは再解析)を用いて、未治療の早期段階の原発腫瘍と治療を受けた末期段階の転移腫瘍の間のゲノムの差異の特徴付けを行った。転移腫瘍は一般に、腫瘍内不均一性が低く、核型が保存されており、変異の増加はわずかだが、構造バリアントの頻度は全体的に上昇していた。さらに、内因性変異過程(例えば、SBS1やAPOBEC)および外因性変異過程(例えば、プラチナ治療)の変異フットプリントの腫瘍特異的な関与は、非常にばらつきが大きかった。がん種の大部分は、早期段階のがんと末期段階のがんを比較した場合、ゲノムの差異が中程度である(例えば、肺腺がん)、あるいはゲノムのポートレイトが高度に一貫している(例えば、卵巣漿液性がん)のどちらかであった。乳がん、前立腺がん、甲状腺がん、腎臓明細胞がん、膵神経内分泌腫瘍はこの規則の明らかな例外で、進行した段階でゲノムの全体像の広範囲な変化が見られた。治療への曝露で、腫瘍ゲノムにはさらに痕跡が残り、治療を受けた患者の約半数において既知の治療抵抗性ドライバーを選択する進化的ボトルネックが導入されていた。我々のデータは、がん種横断的全ゲノム解析を用いて末期段階の腫瘍に特有の特徴を特定することが可能であることを示しており、がんの生物学的基盤や治療抵抗性をさらに調べるための貴重な情報資源となる。

