量子物理学:超伝導プロセッサーにおけるグラフ頂点の非アーベル型ブレイディング
Nature 618, 7964 doi: 10.1038/s41586-023-05954-4
粒子が識別不可能であることは、量子力学の基本原理である。フェルミオン、ボソン、アーベル型エニオンを含む、これまでに観測されているあらゆる素粒子と準粒子では、この原理は、同一粒子のブレイディングによって系が不変に保たれることを保証している。しかし、二次元空間では、興味深い可能性が存在し、非アーベル型エニオンのブレイディングによって、トポロジカルに縮退した波動関数の空間において回転が生じる。従って、識別不可能性の原理を破ることなく、系のオブザーバブルを変化させることができる。非アーベル型エニオンの数学的記述が十分に展開され、多くの理論的提案があるにもかかわらず、その交換統計の実験的観測は、数十年の間実現が困難だった。量子プロセッサー上に生成される制御可能な多体量子状態によって、こうした基本現象を探求する別の経路が得られる。従来の固体プラットフォームでの取り組みでは、一般的に準粒子のハミルトニアン力学が関与しているが、超伝導量子プロセッサーでは、ユニタリーゲートを用いた多体波動関数の直接操作が可能になる。今回我々は、スタビライザーコードによって射影非アーベル型イジングエニオンが得られるという予測に基づいて、一般化スタビライザーコードとユニタリープロトコルを実装し、そうしたエニオンの生成とブレイディングを行った。これによって、エニオンの融合則の実験的検証と、エニオンのブレイディングによるエニオン統計の実現が可能になった。次に我々は、量子計算にエニオンを利用できる可能性を調べ、ブレイディングを用いて、3つの論理キュービットを符号化するエニオンのエンタングル状態を生成した。今回の成果は、非アーベル型ブレイディングに関する新たな知見をもたらし、誤り訂正を今後組み込んでトポロジカル保護を実現することで、フォールトトレラントな量子計算への道を開く可能性がある。

