Article

生化学:哺乳類の嗅受容体によるにおい物質アミン知覚の構造基盤

Nature 618, 7963 doi: 10.1038/s41586-023-06106-4

におい物質は、哺乳類の鼻腔上皮で2つのGタンパク質共役受容体ファミリー、すなわち、におい受容体とTAAR(trace amine-associated receptor)により、においとして検出される。TAARは、有顎魚類と無顎魚類の分岐に続いて出現し、におい物質の揮発性アミンを認識して、誘引や嫌悪のような種内と種間の両方で見られる生得行動を引き起こす受容体の大きな単系統ファミリーを構成している。今回我々は、マウスのTAAR9(mTAAR9)とmTAAR9–Gs三量体の複合体、もしくはmTAAR9–Golf三量体の複合体について、β-フェニルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、それにスペルミジンが結合した際のクライオ電子顕微鏡構造を報告する。mTAAR9の構造には、保存されたD3.32W6.48Y7.43モチーフを持つ、深くて狭いリガンド結合ポケットが含まれていて、これはアミン系のにおい物質の認識に必須である。mTAAR9の構造では、そのN末端をECL2(extracellular loop 2)につなぐ独特なジスルフィド結合が、アゴニストによって誘起される受容体活性化に必要とされる。我々は、TAARファミリーメンバーが持っていてモノアミンとポリアミンの検出に使われる重要な構造モチーフと、異なるTAARメンバーが共有していて同一のにおい物質の認識に使われる配列を明らかにした。また、構造学的評価と変異解析により、GsおよびGolfとmTAAR9が共役する際の分子基盤を解明した。まとめると今回の結果は、アミンを感知する嗅受容体による、におい物質検出、受容体活性化、さらにGolfとの共役の構造基盤を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度