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分子生物学:SWI/SNFサブユニットによる有糸分裂時のブックマーキング
Nature 618, 7963 doi: 10.1038/s41586-023-06085-6
細胞が分化を開始してその状態を維持するには、この状態の「記憶」が有糸分裂を経て娘細胞へと伝達される必要がある。哺乳類のSWI/SNF(switch/sucrose non-fermentable)複合体(別名Brg1/Brg-associated factor〔BAF〕)は、クロマチンの構造を変化させて遺伝子発現を調節することによって、細胞のアイデンティティーを制御しているが、細胞運命の記憶に関与しているかどうかははっきりしていない。今回我々は、SWI/SNFの複数のサブユニットが有糸分裂時にブックマーク(しおり)として働いて、細胞分裂の間に細胞のアイデンティティーを保護することを示す証拠を得た。有糸分裂の際に、SWI/SNFの中核的サブユニットであるSMARCE1とSMARCB1はエンハンサーから外れてプロモーターに結合し、結合相手の遺伝子が有糸分裂終了後に適切に再活性化されるためには、この結合が必要なことが明らかになった。マウスの胚性幹細胞では、単回の有糸分裂の間にSMARCE1を除去しただけで、遺伝子発現がうまく起こらなくなり、標的の一部でそれまでに確立されていた複数のブックマークの結合場所が損なわれて、神経の分化に異常が生じた。従って、SWI/SNFのサブユニットSMARCE1は、有糸分裂時にブックマーキングを行う役割を担っており、転写の再プログラム化の際にエピジェネティック標識を忠実に受け継ぐための非常に重要な働きをしている。

